たまに、ひじきの太さを越えているような毛が生えていることがある。
その毛を見つけた時、えもいわれぬ嬉しさがある。
毛は伸びるほど根元に向かって太くなっていくという。
一体どれほどの年月を経てこの太さになったのかと想いを馳せる。
自分が積み重ねてきたものの結晶のように見えその毛を慈しむように見つめる日もある。
今日は鼻からそれが出た。
最近鼻がムズムズし、くしゃみがやたらと出るのはこいつの仕業かと、ついに花粉症になってしまったかとさえ思った、落ち込んだ、辛かった、腹が立った。さっと抜いて捨てた。なんの情も湧かなかった。ざまあみろとさえ思った。